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不安の原因は扁桃体|正しい扁桃体のコントロール方法
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- 全身のお悩み

公開日:2025年04月25日
更新日:2025年04月25日
このブログを監修している鈴木貴之は国家資格であるはり師免許、きゅう師免許、柔道整復師免許、心理カウンセラーを取得した資格保有者です。
目次
- 1 ストレスによる体の反応は扁桃体が関わっている
- 2 扁桃体の場所と主な働き
- 3 まず扁桃体は命に関わるものかを瞬時に反応する
- 4 情動反応の後に恐怖や不安を感じるようになる
- 5 もともと扁桃体は命を守るための仕組み
- 6 扁桃体の過剰な活動は精神障害の原因になる
- 7 過剰なストレスホルモンの分泌は記憶力も低下させる
- 8 扁桃体の過剰な活動を抑制させる治療法について
- 9 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
- 10 東洋医学の鍼灸治療
- 11 ウォーキング
- 12 マインドフルネスストレス低減法
- 13 コーピング
- 14 不安やパニックでお悩みの方はご相談ください
- 15 当院で患者様の治療実績はこちらから
- 16 関連する記事

ストレスによる体の反応は扁桃体が関わっている

日々、様々な状況の変化に対して感情を抱いたり、またそれらにつき動かされて行動を起こすのは、すべては脳の反応によって引き起こされています。
例えば、以下のような体験をしたことはないでしょうか。
・職場において人前での発言や発表をする
・対人場面で過度の不安や緊張から恐怖心が生じる
・上司や同僚といった人間関係に不安を感じる
・周りの人の視線や動きが気になり仕事に集中できない
・職場に行こうとすると恐怖に駆られてパニック発作を起こす
・電車に乗ることができずに通勤が困難になる
実はこれら脳の中にある扁桃体と呼ばれる部分の反応によって起こっています。
数々のストレスに対して恐怖や不安の感情が発生する過程において、脳内にあるこの扁桃体という部分が重要な役割を果たすことがわかっています。
扁桃体の場所と主な働き

扁桃体は、脳の左右にある神経細胞の集まりで、アーモンドのような形をしていることから「扁桃(アーモンドの和名)」という名前がついたといわれており、目の奥あたりに位置しています。
扁桃体は、情動と感情の処理や直観力、ストレス反応に重要な役割を果たしています。
主に以下のようなネガティブな感情に関わっています。
・恐怖
・不安
・緊張
・怒り
まず扁桃体は命に関わるものかを瞬時に反応する

扁桃体は、何かを見たり聞いたりしたとき、その情報の内容を精査して反応しているわけではありません。
自身の命に関わるものであるかを意識に上がる前に一瞬で評価して反応します。
外界からの刺激に対して扁桃体が瞬間的に「不快である」と判断すると、その反応が「視床下部」に送られます。
そうすると視床下部からストレスホルモンが分泌されます。その結果、血圧や心拍数が上がったり、筋肉が緊張したりといった自律神経の反応(=交感神経の緊張)が起こるようなります。
それに伴って動悸や手足の震え、発汗、吐き気といった身体症状が現れます。
これが、いわゆる情動反応(闘うか逃げるか反応)です。
情動反応の後に恐怖や不安を感じるようになる

そしてこの情動反応の後に「恐怖や不安」の感情が発生します。
交感神経が優位になり、身体の緊張が続くと扁桃体は何気ない他人の表情でもネガティブにとらえるようになります。
この反応が起こると周りの人すべてが自分にとって怖い存在に見えるようになります。
この状態で仕事で問題が起こると、気軽に周りの人に相談できず、一人でその問題を抱え込んでしまってダウンするということになります。
さらに、他人が「恐がっている顔」や「怒っている顔」を見ると、扁桃体はより強く反応します。
他人がなにかを恐れていることは自分にも危険が迫っていると感じるようになり、また他人が怒っているということは、自分に対しての攻撃的な反応となり危険そのものを感じるようになります。
もともと扁桃体は命を守るための仕組み

以上のことから、扁桃体の反応はスピーディーな働きが特徴です。
危険だと判断した場合には、身体の緊張とともに恐怖、不安、嫌悪感という感情をわき起こし、危険を回避し命を守る仕組みになっています。
恐怖や不安という感情を持つことは、本来ならば生存に有利なはずです。
しかし、現代社会においては、この感情がマイナスに働いてしまう場面が多くあります。
扁桃体の過剰な活動は精神障害の原因になる

たとえば、以下のような経験はしたことありますでしょうか。
・人前で発言する場面で過度の不安や緊張で心拍数が上がり話し方がぎこちなくなる
・会議での発表で頭が真っ白になる、言おうとしたことが言えない
脳は情動が大きく動いた時の記憶を強く刻み込む性質があるため、一度このような嫌な経験をすると「また同じことが起こるのではないか」という恐怖心(予期不安)が記憶されます。
この緊張した場面では扁桃体が「人前での発言」=「恐怖」=「体が緊急事態!」という結びつきの反応を反射的に始めます。
扁桃体がこのような過剰な活動をし続けると、些細なストレスに対しても過敏に反応するようになってしまいます。
これが慢性的なストレスの原因となり不安障害、うつ、パニック障害といった精神障害につながる恐れがあります。
過剰なストレスホルモンの分泌は記憶力も低下させる
さらに、この扁桃体の反応によってストレスホルモンであるコルチゾールやノルアドレナリンが分泌され続けると、免疫システムのバランスが崩れてしまい。身体と脳に炎症を起こし、免疫力が著しく低下します。
炎症で脳の神経細胞が傷害されると、海馬や前頭前野の重要な機能である記憶力、注意力、感情制御、思考、行動にも影響します。
ストレスは感情の問題だけでなく、記憶や認知機能にも悪影響を及ぼします。
こういった扁桃体が生み出す恐怖や不安という感情が、脳と身体を完全に支配してしまうことを「扁桃体ハイジャック」といいます。
・突然泣き出してしまう
・衝動的に怒鳴ってしまう
こういった感情に対して「どうしてあの時あんな行動をとってしまったのだろうか」と原因がわからないときは脳が扁桃体にハイジャックされて感情のコントロールが出来なくなっています。
扁桃体の過剰な活動を抑制させる治療法について
このような扁桃体の過剰な活動を抑えて、不安や恐怖の感情をうまくコントロールするためには治療が重要です。
以下の方法は扁桃体の過活動を抑制するために有効な治療法とされています。
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)

神経終末からシナプス間隙へ放出されたセロトニンは主として神経終末に存在するセロトニントランスポーターを介して速やかに取り込まれて再利用されます。
この再取り込みを阻害すると、脳内で細胞外セロトニン濃度を増やしセロトニンの働きを高めることができます。
扁桃体の過剰活動で起こるセロトニン濃度の低下は以下のような精神障害を起こします。
・抑うつ気分
・全般的な不安
・強迫性障害
・パニック障害
これらの障害を抑えるのに選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は有効とされています。
東洋医学の鍼灸治療

常日頃から理性の脳である前頭前野が、扁桃体の過活動を抑えてくれるおかげで私たちは感情にコントロールされずに冷静さを保つことができます。
しかし、ストレス状態が長く続くと、前頭前野の働きが低下してしまうため、扁桃体の過剰な活動が制御できなくなり、不安や恐怖の感情を抱きやすくなります。
実際、うつ病では、前頭前野にある「背外側前頭前野(はいがいそくぜんとうぜんや)」の活動低下と扁桃体の過活動が認められています。
そのため脳の機能を正常化させるためには背外側前頭前野を活性化させたり、扁桃体の過活動を抑制させることが重要になります。
これらの脳機能を改善に導く治療が鍼灸治療です。
鍼灸治療は、バランスを崩している脳部位に鍼灸の刺激を与えることによって効果を引き出します。
前頭前野が活性化すると、扁桃体の過活動を抑制する力が回復し、意欲・判断力・思考力が向上します。
ウォーキング

扁桃体の過剰な活動にすぐに対処したいときには、「体を大きく動かすこと」が効果的です。
その中でも手軽に取り組むことができるのがウォーキングです。
「普段の歩くスピードより気持ち速足」くらいのペースで30分程度のウォーキングをすることで以下のような脳内ホルモンが分泌されます。
・セロトニン
・ドーパミン
・βエンドルフィン
・オキシトシン
これら気持ちをポジティブにする脳内ホルモンが増えることが研究でわかっています。
さらに、ノルアドレナリン、アドレナリン、コルチゾールといった、ネガティブ感情や身体の不調の原因となるストレスホルモンの分泌を抑えることもできます。
結果的に扁桃体の過活動を鎮静化させ、慢性ストレスによる不快な症状や気分の落ち込みに対して改善効果が期待できます。
マインドフルネスストレス低減法

マインドフルネスストレス低減法とは、マサチューセッツ大学の医学部が開発した宗教性を一切排除した瞑想法です。
ストレス軽減や集中力や創造性が上がる効果があり、アメリカの大企業や有名大学、世界中の各分野で活躍している著名人など、多くの人がこの瞑想法を取り入れています。
10分間のマインドフルネスを2か月間続けた結果、身体の不調が35%、心の不調が40%軽減されたという大規模な医学研究もあります。
また、コルチゾールが減ることにより、海馬の神経細胞が5%増加したという研究もあります。
記憶力や想像力などをつかさどる海馬の機能が上がることも分かっています。
まずは10分間でいいので、続けてみることをお勧めします。
コーピング

コーピングとは、「ストレスに対して意図的に行動する対処法」を意味します。
自分のストレスを客観的に観察し、自分に合った対策論理的に合理的に行います。
慢性ストレスから抜け出す方法として重要なことは扁桃体の暴走を抑えることです。
コーピングには扁桃体の暴走を止めることが期待できます。
【方法】
①あらかじめストレスに対してどんな気晴らしや対策を行えば効果的かをリストアップする
②ストレスを認知した場合に、ストレスに見合った手段を自分で選んで実行する
③どの対策が効いたのか判断する
この一連の「主体的に考える」という作業が、思考や意欲や実行機能をつかさどる前頭前野を活性化することにつながります。
この前頭前野の本来の働きである「扁桃体の暴走を抑える」ことを行うことで慢性的なストレスから解放されます。
不安やパニックでお悩みの方はご相談ください
西洋医学では不安症やパニック障害への治療は薬物療法が主流です。
処方される薬には中枢神経に作用する抗不安薬も多く依存性と離脱症状が懸念されます。
完治に至るまでの期間が長ければ長いほど服薬する期間も長くなるため依存する確率も高くなります。
しかし、東洋医学に基づく鍼灸治療は依存性が全く無く不安症やパニック障害の改善が行えます。
また抗不安薬を減薬しながら不安症を治すことも可能です。
ぜひ、当院の鍼灸治療を受けならがら減薬や断薬をしてみてはいかがでしょうか。
当院で患者様の治療実績はこちらから

実際に当院ご来院になって改善された患者様の声と改善までの経過を報告します。
同じようにつらい思いをされている方の役に立てるのならばと皆さん快く掲載を許可頂きました。
これを読まれている患者様のご参考になれば嬉しく思います。
下記のリンクから別ページでご覧ください。


鍼灸院コモラボ院長
ブログ管理・編集者
【国家資格・所属】
鍼灸あんまマッサージ指圧師、柔道整復師、心理カウンセラー、メンタルトレーナー 治療家歴14年、日本東方医学会会員、脈診臨床研究会会員
神奈川県の鍼灸整骨院にて13年勤務(院長職を務める)
現在、JR三鷹駅北口に自律神経専門の鍼灸院コモラボにて様々な不調の患者様に鍼灸治療を行っている。
【SNS】
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